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黒炭岩手一号窯製炭法

2.築窯の順序 (8)天井構築


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2. 築窯の順序

  (8) 天井構築

炭窯の天井を構築する場合、先ず天井の最高部の位置を決める。   
炭窯の天井の最高部の位置は窯の後方より奥行き設計の7割の地点を求め、この場所を最後部の基点とする。
窯の最高部の高さは大円直径の5分の1とする。     
炭窯の天井を構築する作業の方法には2種類の方法がある。

[1] 練り鉢法

焼土と掘り取ったままの面土を混合し、充分練って天井土に用いる方法
焼土とは、以前稼働していた窯の土のことをいう。

[2] 打ち上げ法

掘ったままの粘土をそのまま天井土に用いて打ち固める簡易な方法
野州窯の天井の構築法は打ち上げ法によるものが多い。
 

練鉢法による天井の組立順序

  1. 炭材を大・中・小、長短数種に分けて調整しておく。

  2. 窯の天井の形は、炭材を積み上げて構成するが、太くて長い炭材から細くて短く炭材という風に炭材を積み上げ、最後に炭材の端を斜めに伐った切子ものを用い、相互に凹凸のないように、平滑に組み上げる。

  3. 窯の最高部に当たる場所を目標に、太い炭材を窯の縦方向に列べ、おおよその窯天井部の形を造る。

  4. 窯壁の上部内面に当たる部分には、直径3寸位(9cm)の炭材を使って、相互に窯の縦方向にびっしりと列べる。その上に、順に細く短い木を積み上げていき凹凸がなく平滑に仕上げていく。

  5. 煙道口前と小円形の部分では、炭材を窯に向かって横に並べる。

  6. 最後に、炭材を積み上げて形作った天井の形を前後左右からよく見回し、木の端を斜めに伐って互いに組みやすくしてある切子を用いて仕上げる。

  7. その上に、粘土を盛って丁寧に打ち堅めて天井を造るわけであるが、天井の高さは、粘土を盛って打ち固めたり、火入れをして炭を焼いたりすると、沈下する。
    そこで、「余盛り」を行うのである。

  8. 余盛りの高さは、粘土によって異なるが、大円形の5分の1に相当する高さが適当である。
    窯の天井(「鉢」という)の墜落のおそれがない限り、天井の高さは低く造った方が収炭率が高くなる。
    天井をあまり低く造ると天井(鉢)は墜落する。
    また、炭を焼く際に、立て込んだ炭材の上木が不足すると、立木炭材の上部が灰化してしまう。
    そんな訳で、天井の高低には十分に注意する必要がある。

  9. 天井に用いる窯土は、以前に使用した窯の焼土と粘土をよく混合して使用すると、新たに粘土を準備する量が少なくて済むとともに、粘土中に含まれる有機物の量が減少するため、より丈夫な天井(「鉢」)を造りやすくなる。
    注意すべきことは、天井が乾燥不十分のまま着火すると、どのような土を用いても、墜落してしまうので、天井は十分に乾燥させてから火入れを行わなければならない。

  10. 天井の盛り土は掘り出したままの粘土または焼土を問わず、はじめの「窯壁付け」土の厚さを決めておかなければならない。

  11. 「窯壁付け」土の厚さは、窯壁の崩壊に対する強さと天井を支える力を左右する。

  12. 窯壁付け土に際しては、窯壁の上部において、内壁から約6寸位離して一定の表示をし、それを目標に窯形に沿って廻りながら平均の壁厚さに粘土を盛り付ける。

  13. 盛り土が終わったら、よく均一に均し、木槌またはで打ち固める。

  14. 最終の仕上げの目安は、窯壁付けで4寸、天井の最高部で3寸がよい。
    天井の打ち堅めが不十分だと裏落ちや墜落の虞がある。
    裏落ちや墜落を防止するためには、平均に天井部を打ち均したら、数回唐鍬またはスコップで天井部の粘土を切り返し、粘土をよく練ることが肝心である。
    最後にヘラで平均に均す。
    また、天井部の粘土の乾燥していくのと平行して、均一に均した天井部を更に小ヘラでナラし続けることが必要である。

    肝心なことは、用土(粘土)をよく練って、よく固め、十分に乾燥させることである。この作業を鉢上げともいう。
   

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