黒炭岩手一号窯製炭法
6.木炭と炭窯の診断について
6.木炭と炭窯の診断について
▲トラブルインデックス
トラブル1: 木炭の頭部が大裂し、縦列横裂甚だしく、また、樹皮が離れている。
トラブル2: 木炭の頭部が灰被りとなり、焼け崩れているおり、また、未炭化部がある。
トラブル3: 木炭の下部2寸位の部分または中央部などに横裂け、縦裂が生じている。
トラブル4:木炭の下部が横列する。また、窯底に接する部分が砕ける。
その1 窯口に近い場所の木炭下部が横裂している。
その2 木炭の下部2寸位の部分や窯底に接した炭材下部が砕ける
トラブル5:木炭の頭部2寸位の所に網形状の斑点ができる。
トラブル6:排煙口近くの木炭の頭部が褐色で、炭質が柔らかくて、握ると砕ける。
トラブル7:表面は暗灰色で樹皮と辺材の境界が褐色である
トラブル8: 風除け(かぜよけ):表面が暗灰色で横断面が褐色である
トラブル9: 出炭時には、窯内で直立している。
この炭を窯内から出し、そのままにしておくと湿気を吸収して折れる。
雨雪時、急に天候の変化があると、木炭が音響を発して折れる。
また、木炭を握ると、握った部分だけ残して、両端が折れて落ちる。
特に、椎木(シイノキ)に多く発生する。
トラブル10 :窯口近くの木炭の下部から1尺(30cm)位の部分に煤が付着している。
- トラブル1
- 木炭の頭部が大裂し、縦列横裂甚だしく、また、樹皮が離れている。
- ◆原因
- 蒸気乾燥不十分の内に着火を急激に行い、高温で急激に炭化を行ったためである。
- ●対策
- 蒸気乾燥は、排気口温度が55℃位で静かに口焚を行うことが大切である。
- トラブル2
- 木炭の頭部が灰被りとなり、焼け崩れているおり、また、未炭化部がある。
- ◆原因
- 窯の天井が高すぎて、窯内温度の均衡がとれず、煙道の引きが弱いため。
- ●対策
- 天井は窯土や上木の程度を考慮して可能な限り低く構築する。
- ◆原因
- 暫く休んだ冷窯で、湿気が多のにも係わらず低温炭化したため。
- ●対策
- 暫く休んだ冷窯の場合は、高温度で着火する。
- ◆原因
- 山沿いや窯底から湿気が窯内に侵入するため。
- ●対策
- 湿気の侵入する箇所に枝条材や樹皮を立て列べて窯壁と山沿い部とを遮断し、窯底を乾燥させる。
- ◆原因
- 窯底が重粘土で湿気やすい。
- ●対策
- 窯底の外側部分にトレンチを掘る。
また、そのままでは天井部の崩落や窯壁が倒壊するおそれのある場合は、掘ったトレンチに玉砂利を敷き込んで打ち堅め、窯底部と切り離す。
- トラブル3
- 木炭の下部2寸位の部分または中央部などに横裂け、縦裂が生じている。
- ◆原因
- 排煙口の掛石が高すぎるため
- ●対策
- 排煙口下部の地盤と掛石の高低差が大きくなりすぎないよう、清掃時に注意をする。
- ◆原因
- 精錬の際に急激に通風口を開いて高温・急炭化したため
- ●対策
- 精錬時、通風口と煙道口は数回に分けて開くこと
- ◆原因
- 窯底に大きな石があり、その上に炭材が乗っている状態になっているため
- ●対策
- 窯底は壌土と粘土で造る。
金網などを窯底に敷き込み、窯底部と炭材下部の間に隙間を設ける。
- ◆原因
- 粉炭の上に炭材を立て込んだため
- ●対策
- 炭材を立て込む前に窯底部を綺麗に清掃する。
- トラブル4
-
- 木炭の下部が横列する。また、窯底に接する部分が砕ける。
- その1 窯口に近い場所の木炭下部が横裂している。
- ◆原因
- 炭化末期、精錬時に通風口を急激に開口して精錬したため
- ●対策
- 急に通風口を開かない。2〜3回に分けて徐々に静かに開口する。
煙道口の温度が200℃位の時に通風口を開口しすぎると、燃焼時に発する音響とともに煙を通風口の外部まで吹き出すから、このような時には通風口を狭める。
- ◆原因
- 通風口の引きが弱いため
- ●対策
- 排煙口の掛石に刀歯のものを用いない。
煙道口の横幅を広げる。
木炭の下部が横列する。また、窯底に接する部分が砕ける。
- その2 木炭の下部2寸位の部分や窯底に接した炭材下部が砕ける
- ◆原因
- 連続製炭により、窯底が乾燥しすぎたため
- ●対策
- 着火を少々早めるとともに、煙道口と通風口を狭めて製炭する。
窯底の土を取り替える。(労力の関係上不可能)
窯底に散水する。
- トラブル5
- 木炭の頭部2寸位の所に網形状の斑点ができる。
- ◆原因
- 着火後に炭化温度が下がり、数時間後に温度が上昇した。
- ◆原因
- 着火後温度が下がったので、再着火を行った。
- ●対策
- 着火に細心の注意をはらう。
- ◆原因
- 幼令木で細い枝条材などを上木に用いた結果、上木が急に燃焼しつくしてしまい。窯内温度が低下し、炭材に火の移りが遅れてしまった。
- ●対策
- 上木に用いる炭材に注意する。
- トラブル6
- 排煙口近くの木炭の頭部が褐色で、炭質が柔らかくて、握ると砕ける。
- ◆原因
- 排煙口を極端に縮小したため煙道口の引きの強い窯で起きやすい。
- ●対策
- 煙道口を縮小する。
煙道口で調節する。
排煙口を極端に狭めない。
- トラブル7
- 表面は暗灰色で樹皮と辺材の境界が褐色である
- ◆原因
- 低温炭化との消火時期の兼ね合い
- ●対策
- 精錬を充分行う。
急いで消火をしない。
- トラブル8
- 風除け(かぜよけ):表面が暗灰色で横断面が褐色である
- ◆原因
- 通風口に接近しすぎて風除けを造り、通風口前を囲んだため
- ●対策
- 通風口から離れた位置に風除けは造る。
- トラブル9
- 出炭時には、窯内で直立している。
この炭を窯内から出し、そのままにしておくと湿気を吸収して折れる。
雨雪時、急に天候の変化があると、木炭が音響を発して折れる。
また、木炭を握ると、握った部分だけ残して、両端が折れて落ちる。
特に、椎木(シイノキ)に多く発生する。
- ◆原因
- 煙道口、通風口を極端に狭めて低温炭化し、また、精錬が不十分なまま消火した。
- ●対策
- 着火後の煙道口と通風口の調節のバランスを取る。
精錬を充分に行う。
- トラブル10
- 窯口近くの木炭の下部から1尺(30cm)位の部分に煤が付着している。
- ◆原因
- 通風口より煙道口の出払い口が大きい
- ●対策
- 通風口は煙道口よりも少々大きく開口する。