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生物科学
Volume 59,No.4 2008

May.

目次

特集:種についての終わりなき論争

●巻頭言:種の問題における理想と現実(朝倉彰)……193

●直海俊一郎:便宜的な分類単位としての種と進化の単位としての個体群……194
 種とは,生物学の広範な研究分野における最も基本的で重要な単位の1つである.その種についての様々な問題は,生物学・体系学・哲学の多くの分野において頻繁に議論されてきたにもかかわらず,自然理解にとって役に立つ理想的な種概念についての共通理解が,諸分野の研究者間で得られたとは思われない.ただし,ある種概念(すべての生物群に適用できるもの)のもとで認識された種分類群が,「進化の基本単位」をなすと同時に,同定が容易な(したがって,形態で識別可能な)単位となったとすると,その種概念が理想的なものである.そのような理想的な種概念が存在しないことを第1部(2)で論じるに先立ち,第1部(1)では,生物学的種概念や標徴種概念をはじめとする代表的な既存の種概念とそれらの問題点を論じる.
キーワード:種,生物学的種概念,系統学的種概念,凝集種概念,進化種概念

●三中信宏:「種」概念の光と闇 ―概念の分類ではなく、その出自をたどろう―……238
 種タクソンの形而上学的地位と種カテゴリーの認識論については生物学と生物学哲学の領域をまたぐ論議が今なお続いている.われわれがヒトとして普遍的に有している認知心理的性向,とくに自然種(natural kinds)に関わる心理的本質主義を踏まえるとき,種問題の実りある論議のためには,そもそもそのような概念化が発生してきた起源,ならびに種と高次分類群の概念化をめぐる体系学史の文脈をつねに念頭に置く必要があるだろう.種問題を解決することはもともと不可能である.いかにそれとともに生き続けるかという選択肢しか残されていないだろう.
キーワード:種,種概念,種問題,本質主義,分類思考,系統樹思考

●小林興:科学リテラシーと新しい生物学教育の方向……244
 科学教育の目的は科学リテラシーを高める事にある.日本人の科学リテラシーのレベルは先進諸外国に比べて非常に低い.従って,科学教育は学生および市民が科学の内容に関心を持つようにすることが重要である.また,先進諸外国(中国,韓国,英国,フランス,米国,オランダなど)の高等学校の生物学の教科書を見ると,分子のレベルから説き起こしており,当然,遺伝子についても記述し,生命現象について詳しく説明している.しかし,日本の教科書はそのようになっておらず,内容も貧弱である.そのため,日本の高校生の生物学に対する理解は国際レベルからかなり遅れており,若者の間で日本人の科学リテラシーが低くなっている傾向にある.その要因はいろいろ考えられるが,主な理由は,教科書と授業時間数にあると考えられる.これらの事実に基づき,日本人の科学リテラシーをレベルアップし,生物学教育を国際レベルに高めてゆくための提言をする.
キーワード:科学リテラシー,中等教育における生物学教育,学習指導要領,遺伝子教育,国際生物学オリンピック

●書評
『文明崩壊:滅亡と存続の運命を分けるもの』
『虫食む人々の暮らし』


English_conents

Special feature : Conservation of rare tree species in Japan

Asakura Akira:Species concept and species problem : between ideal and reality(193)
Special feature : Endless controversy on species problem
Naomi Shun-ichiro : Species as convenient taxono-mic units and populations as units of evolution.
Part 1(1): Known concepts of species and their problems.(194)
Naomi Shun-ichiro : Species as convenient taxonomic units and populations as units of evolution.
Part 1(2): Species are“convenient taxonomic units”(205)
Naomi Shun-ichiro : Species as the convenient taxonomic units and populations as the units of evolution.
Part 2 : Populations as the units of evolution.(220)
Minaka Nobuhiro : Classification and intellectual genealogy of species concepts.(238)
Kobayashi Koh : Science literacy and a new approach about biology education.(244)
Book reviews (253)


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