- 座談会 練り上げのある授業について考える
新井良和,山口哲司,仲川隆雄,大館信浩,牧野宏,松澤忠明
- 練り上げによる発展性のある授業にするために 大西秀彦
- 教師が創る練り上げのある授業 稲毛英三
- 子ども一人ひとりの個性を生かした昆虫ワールドづくり
―3年「こん虫をさがそう」単元をとおして― 馬場大輔
- 自分の考えをもち,ねばり強く追究できる子どもの育成
―4年「ものの温度とかさ」― 小田孝仁
- 溶解にかかわる個々の見方や考え方を高めていく授業 ―5・6年複式
「とけるってどうなること?〜もののとけ方(5年)〜」― 高橋泰道
「個に応じた指導」が授業のキーワードになって久しい。この「個に応じた指導」を念頭に置いた授業では,「一人ひとりの学び」を授業者がどう考えているかが重要である。そのうえで,一人ひとりのなかで繰り広げられる「学び」では,学習者が授業をとおして獲得したものを情報交換したり,自分の五感を使って確かめたりしていくことで,「個の学び」がより確かなものになっていくと考える。さらに,個の学習場面では,柔軟な学習形態や多様な方法による情報交換に重点が置かれ,授業が展開されなければならない。
しかし,その前に,指導者が学習者一人ひとりの「学ぶこと」をどう考えておくかということも大切である。実験・観察の場面では,〈前提とする学ぶ力〉と単元や本時の活動をとおして〈新たに育つであろう「学ぶ力」〉も「学ぶこと」に深くかかわっている。そして,収集した情報を整理,検討するなかで自分の考えを明確にしていくことや新たな発見,気づきなどもこの「学ぶこと」に含まれていることも忘れてはならない。学習のなかでは,「自分としての考え」を価値あるものとするために,他の事象や友達の考えとのすり合わせをとおし,それぞれの「考え」の妥当性について検討したり,評価したりする場面が必要であろう。理科における「一人ひとりの学び」のありかたが,「練り上げ」をとおして,いっそう明確になっていくのではないかと考えている。(担当 松澤 忠明)
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