- 座談会 知識の差,経験の差を乗り越える理科授業
西林克彦,村山稔,酒井悟,牧弘樹,若狭陽一
- 論 説 「できる子」と「できない子」について 西林克彦
- 論 説 知識や経験の差を活かし,共有する理科授業 森 一夫
- 主題研究 実感を伴って理解し,科学的な見方や考え方を育てる理科授業 阿部英幸
- 主題研究 知識の枠組みをもたせる先行実験の意義
―4年理科「水の3つのすがた」― 村山稔
- 主題研究 「知識伝達―事例化モデル」による授業づくり
―6年「ものの燃え方と空気」を通して― 脇元宏治
理科好きの子どもや塾などで予習をしている子どもと,そうでない子どもとでは,理科の指導内容にかかわる知識の量に大きな違いがあります。また,理科の指導内容にかかわる経験も,子どもの家庭環境などによって大きく違います。
理科の授業をしていて,このような知識の差や経験の差が授業の妨げになった経験のある先生は多いと思います。たとえば,知識や経験の豊富な子どもが単元の先を見越した発言をしてしまい,ほかの子どもに芽生えた追究意欲がしぼんでしまうということがあります。また,このような発言をする子どもが,その単元の指導内容をわかっている(と思い込んでいる)せいで,意欲的に追究しなくなることもあります。
一方,知識の差や経験の差が,授業の妨げになっているとはとらえていない先生もいらっしゃいます。両者の違いは,どのようなところから生まれるのでしょうか。
1つ目の視点としては,子どもの知識や経験の差を埋める工夫がされているかどうかということがあります。
2つ目の視点としては,子どもの知識や経験の差を生かす工夫がされているかどうかということがあります。
そして,3つ目の視点としては,子どもの知識や経験に左右されない授業を構想しているかどうかということがあります。
3つの視点のうち,どの視点からとらえるかによって,授業は大きく変わってきます。今月号では,子どもの知識の差や経験の差を私たちがどのようにとらえ,授業をどのように改善していったらよいのかを明らかにしていきます。
(担当/牧 弘樹)
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