- インタビュー 茂木健一郎氏に聞く 「ひらめき」の生まれる授業
- 論 説 問題解決の過程は小さなひらめきの連続! 正岡義憲
- 論 説 ひらめきの生まれる理科の授業 露木和男
- 主題研究 子どもたちはどんなときひらめくのか 高谷勝巳
- 主題研究 “ひらめく”ための授業感覚 笠原秀浩
- 主題研究 子どもの詩情に潜む「ひらめき」
―6年「土地のつくり」― 恒川 徹
5年生「発芽」の授業。空気が必要かどうかを調べる方法を考えていたとき,一人の子が,4年生の「空気とかさ」の単元を思い出し,空気でっぽうの中に種を入れ,空気を抜く,という方法を考えた。これまで,「水の中に入れる」程度にしか考えていなかった私は,この子のひらめきをとても新鮮に感じた。
ひらめきが生まれる授業は楽しい。授業が飛躍的に発展する瞬間である。ひらめいた子だけでなく,仲間もともに成長できる瞬間である。驚き,共感し,発見の喜びに満ちるものだからである。授業における「ひらめき」のもつ価値は大きい。
では,授業における子どもの「ひらめき」を共有し,それに共感し,感動できる授業を志向するために,どのようなことが大切なのだろう。
1つには,自由な子どもの表現を保証する雰囲気があげられるのではないか。これまで「学級経営」という言葉でくくられていたものに改めて光を当ててみたい。
2つには,「ひらめき」は先行経験とどこかでつながっているということである。授業が先行経験に裏打ちされたものを保証するものであれば,子どもは先行経験に新たな意味づけをして「ひらめく」のではないか。
3つ目は,仲間で切磋琢磨する環境があることである。仲間は異質な考えをもっている。その異質な考えがきっかけになって「ひらめき」は生まれることが多い。
4つ目は,「ひらめき」を生かす環境である。いくらいい考えが出ても,その考えのおもしろさ,貴重さに気づく感覚がなければ,「ひらめき」は消えてしまう。
具体的な授業という実践の場で,もっと「ひらめき」を大切にする授業のノウハウがあるにちがいない。人間である子どもの「ひらめき」の仕組みを少しでも解明しながら,さらに教師の授業力の向上につなげていきたいと考える。(担当/露木 和男)
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