- 論 説 新しい内容区分の考え方―2区分の意味 日置光久
- 論 説 “状況をつくる学び”と“状況に入る学び”
─2区分の理解─ 村山哲哉
- 論 説 “状況に入る学び”と“状況をつくる学び”
─2区分の考え方─ 八嶋真理子
- 主題研究 “状況に入る学び”は学びの原点であり,最終目標である 貝谷雅敏
- 主題研究 “状況をつくる学び”は,子どもがつくる 佐藤 忍
- 主題研究 “状況に入る学び”について考える
─3年「見つけよう! 生き物のひみつ」を通して─ 鳴川哲也
- 主題研究 “状況をつくる学び”について考える
─5年「てこのはたらき」を通して─ 猪狩英究
これまでの小学校理科A,B,C区分の考え方に,子どもの状況による学び方の違いを付加する新しい理科教育がはじまろうとしています。整理すると以下のようになります。
現行3区分の考え方
*対象の違い(特徴)現行3区分の
*対象の違いによる物の見方,考え方,扱い方(自然認識)
*児童の思考や行動の発達
新しい考え方
*状況による学びの違い(付加)
また,状況による学び方の違いを文科省の日置調査官は以下のように定義されています。
【定義】
状況に入る学び
子どもが,自然の中に自ら入っていってつくる学びが「状況に入る学び」である。川の流れや地層の観察などは,自らの足でそのフィールドに移動することにより,はじめて学びが保証される。また,そのようなフィールドの自然は情報量が膨大であり,あらかじめ観察の視点を設定したりポイントを絞ったりしておかないと,学びが成立しないという特徴がある。自らの身体移動を伴いながら諸感覚をフルに働かせることにより,対象に依存した豊かな学びを成立させることができる。
状況をつくる学び
子どもが変数を限定して実験的に場を制御してつくる学びが「状況をつくる学び」である。理科室や校庭で行う流水実験などは,自然を部分的に切り取ったり,デフォルメしたりして,調べたい特徴やその結果が,より明瞭に出るように工夫して行われる。それは,自然そのものではないが,より人間の関与の部分を増やし,限定をかけながら結果を導出しようという特徴がある。対象への依存性が比較的低い,収斂的な学びを成立させることができる。
(『展望 日本型理科教育』日置光久著より)
中教審理科専門部会においても,「エネルギー」「粒子」「生命」「地球」の4つを柱に,小・中・高校を通した理科の内容の構造化が進められ,2007年度は大きな教育改革の年になることは必至です。
そこで,今月号は,教育改革の一つである,2区分制における新しい小学校理科教育の展望について,理論と実践から紹介する号です。
新年度がスタートします。本号を参考にし,子どもの状況による学びの違いを意識した新しい理科教育の実践が,全国で展開されることを願っています。(担当/塚田昭一)
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