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初等理科教育
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2007年4月号 No515
“状況に入る学び”と
“状況をつくる学び”

4月号表紙
  • 論 説 新しい内容区分の考え方―2区分の意味 日置光久
  • 論 説 “状況をつくる学び”と“状況に入る学び”
    ─2区分の理解─ 村山哲哉
  • 論 説 “状況に入る学び”と“状況をつくる学び”
    ─2区分の考え方─ 八嶋真理子
  • 主題研究 “状況に入る学び”は学びの原点であり,最終目標である 貝谷雅敏
  • 主題研究 “状況をつくる学び”は,子どもがつくる 佐藤 忍
  • 主題研究 “状況に入る学び”について考える
    ─3年「見つけよう! 生き物のひみつ」を通して─ 鳴川哲也
  • 主題研究 “状況をつくる学び”について考える
    ─5年「てこのはたらき」を通して─ 猪狩英究


これまでの小学校理科A,B,C区分の考え方に,子どもの状況による学び方の違いを付加する新しい理科教育がはじまろうとしています。整理すると以下のようになります。

現行3区分の考え方
 *対象の違い(特徴)現行3区分の
 *対象の違いによる物の見方,考え方,扱い方(自然認識)
 *児童の思考や行動の発達
新しい考え方
 *状況による学びの違い(付加)

 また,状況による学び方の違いを文科省の日置調査官は以下のように定義されています。
【定義】
 状況に入る学び
 子どもが,自然の中に自ら入っていってつくる学びが「状況に入る学び」である。川の流れや地層の観察などは,自らの足でそのフィールドに移動することにより,はじめて学びが保証される。また,そのようなフィールドの自然は情報量が膨大であり,あらかじめ観察の視点を設定したりポイントを絞ったりしておかないと,学びが成立しないという特徴がある。自らの身体移動を伴いながら諸感覚をフルに働かせることにより,対象に依存した豊かな学びを成立させることができる。
 状況をつくる学び
 子どもが変数を限定して実験的に場を制御してつくる学びが「状況をつくる学び」である。理科室や校庭で行う流水実験などは,自然を部分的に切り取ったり,デフォルメしたりして,調べたい特徴やその結果が,より明瞭に出るように工夫して行われる。それは,自然そのものではないが,より人間の関与の部分を増やし,限定をかけながら結果を導出しようという特徴がある。対象への依存性が比較的低い,収斂的な学びを成立させることができる。
(『展望 日本型理科教育』日置光久著より)

 中教審理科専門部会においても,「エネルギー」「粒子」「生命」「地球」の4つを柱に,小・中・高校を通した理科の内容の構造化が進められ,2007年度は大きな教育改革の年になることは必至です。
 そこで,今月号は,教育改革の一つである,2区分制における新しい小学校理科教育の展望について,理論と実践から紹介する号です。
 新年度がスタートします。本号を参考にし,子どもの状況による学びの違いを意識した新しい理科教育の実践が,全国で展開されることを願っています。(担当/塚田昭一)
  

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2007年
3月号 “読解力”を育てる理科授業の改善
2月号 「何を」かくか 「いつ」かくか
1月号 児童に考えさせる実験結果のまとめ方
2006年
12月号 今,単元構成を考える
11月号 教えて考えさせる授業と問題解決
10月号 話し合いを深めるキーワードとは?
9月号 感性をみがく理科教育
8月号 知識の差,経験の差を乗り越える理科授業
7月号 幼・小・中連携を踏まえた学習指導要領改訂のポイント
6月号 「表現力」を理科で鍛える
5月号 知的ボルテージを高める理科授業
4月増刊号 学力低下を克服する 小学校理科の新展開
4月号 こうすれば楽しくなる,理科の授業!!―若い先生方とともに育つために―
3月号 小学校理科はこれでいいのか―学習指導要領改訂への提言―
2月号 問題解決の力を育む
1月号 子どもが「わかった」と実感できる授業
2005年
12月号 子どもの見方や考え方をとらえる
11月号 見えない世界を楽しむ
10月号 他教科との関連を踏まえた新世紀型理科教育
9月号 こだわりを育てる理科授業
8月号 確かな学力に高める「説明活動」
7月号 子どもの出番! 教師の出番!
6月号 先行学習の有効性
5月号 教師を理科好きにする“新しい校内研修”
5月増刊号 「真の学力」を育てる 理科の学習指導案集
4月号 ふるさとの自然に自信と誇りを育てる授業
3月号 個の学びを生かした 練り上げのある授業
2月号 豊かな「挫折」がある授業
1月号 自然を豊かに感じ、確かな科学を築く
2004年
12月号 発展的な学習のアイデア
11月号 「問題解決」の原点
10月号 対話で変わる子どもの見方や考え方
9月号 わかる理科授業をめざして
8月号 21世紀型の教材研究
7月号 特集:子どものつくる「問題」、教師の考える「問題」
6月号 特集:みがけ! 感性
5月号 専門家の協力を得た授業
4月増刊号 小学校理科授業のレベルアップ読本
4月号 確かな学力を育てる理科授業
3月号 長期記憶に残る理科授業の工夫
2月号 「問題解決と学力」を問う
1月号 理科嫌いをなくす授業をめざして
2003年
12月号 予習と理科学習
11月号 「わくわく導入」のあり方
10月号 科学的思考を育てる「基礎・基本」
9月号 ポートフォリオを生かす
8月号 教師の指導力を問う
7月号 ものづくりで科学する力を
6月号 どうする? 発展的・補充的な学習
5月号 飼育・栽培の楽しみ
5月増刊号 楽しい理科の導入の工夫
4月号 ワンランク上の学力をつけたい
3月号 学習指導要領をみつめなおす
2月号 学力低下への緊急提言
1月号 理科から総合へ
2002年
12月号 海外の理科教育に学ぶ
11月号 絶対評価 私の実践
10月号 地域とつながる理科教育
9月号 わかる喜びをめざす理科の授業
8月号 教材化を図る教師の眼
7月号 自然体験活動のすすめ方
6月号 理科の授業と仲間づくり
5月号 センス・オブ・ワンダーの心を育てる
5月増刊号 理科に役立つ栽培植物
4月号 「豊かな心」にどこまで迫れるか
3月号 感動を表現する子どもを育てる
2月号 現代日本の理科離れの危機
1月号 子どもの仮説が生きる授業
2001年
12月号 IT革命と理科授業
11月号 子どもが協同しあう授業の創造
10月号 ものづくりをどう位置づけるか
9月号 理科で育つ学力
8月号 「わかる」授業から「わかりあう」授業へ
7月号 事実を大事にした授業
6月号 生命観を養う理科授業
5月号 地域の自然 目のつけどころ
5月増刊号 もっと活かそう学校環境
4月号 特集:私の考える「よい授業」
3月号 特集:心に残る授業
2月号 特集:理科で育つ資質や能力
1月号 特集:心の世紀と理科の教育

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