- 実生活と授業をつなぐさまざまな方法を考える 溝邊和成
- 学校での学びを実生活へ生かすための授業作り
─子どものメタ認知の働きを支援し,探究を触発する─ 湯澤正通
- 主題研究 実生活と自然認識をつなぐ表現 黒田篤志
- 主題研究 実生活の誤概念に気づくことで獲得する科学的概念
─6年「ものの燃え方」の実践をとおして─ 岸 俊之
- 主題研究 日常生活の事象の授業化⇔学習したことの活用のサイクルを通して,学ぶことの意義や有用性を実感できる授業
─水のすがたとゆくえ(第4学年)の実践を中心にして─ 堀井俊宏
実生活と理科授業との関連については,以前から言われていることではありますが,これからの時代に求められる関連のありかたについて再考する必要があるのではないかと考え,「実生活と授業をつなぐ」を特集のテーマとして考えてみました。
これからの時代に求められる関連のありかたについて,再考しなければならないと考えた背景としては,昨年,2月13日に報告された中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会審議報告の記述内容を一つの要因としてあげることができます。
その中に,理数教育の改善(知識理解の定着)として,「理科に対する国民的な理解を高めるためには,子どもの知的好奇心を駆り立てる内容,実生活に密着した内容で組み立てることができないか,科学史上の著名な発見や原理などについて理解させることが必要ではないかと考えられる。」と記してあります。また,“思考力・表現力等の育成”として,「理科においては,粒子やエネルギーなどの基本的な概念について,実生活と関連づけたり,体験したりして理解することが重要である。また,さまざまな数量的なデータを分類整理し比較したり,グラフ化したりすること,仮説を立てて実験し評価し改善することなど,実感を伴って理解し,論理的に思考し適切に表現する力を,国語力の育成とも関連させながら確実に育成することが重要である。」と記してあります。さらに,“学習意欲・学習習慣”について,「……実生活と関連づけた指導の充実を図るなどして,算数・数学や理科を学ぶことの意義や有用性を実感する機会を持たせることが重要である。」と記してあります。
“知識理解の定着”“思考力・表現力等の育成”“学習意欲・学習習慣”のそれぞれ項の記述において,「実生活」という言葉がキーワードとして出てきます。実生活との関わりを強調している点に注目する必要があると考えました。
実生活との関連が強調されている背景には,学校で獲得されたものが転移可能なものとして有効に働いていないことへの懸念と,実生活との関連を知れば理科学習への意欲も高まると考えられていると推察することができます。
そこで,特集のテーマを「実生活と授業をつなぐ」に設定することで,実生活とどのような関連の方法があるのか,また,子どもたちにどのような力を育てることができるのか,誌上において理論的に整理し,具体的な授業レベルで方法を示すことができたら,全国の読者の方に,日々の授業において参考にしていただけるのではないかと考えました。
(担当/中田 晋介)
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