- なぜPISA型科学的リテラシーなのか 毛利澄夫
- 「説明活動」で育てる読解力や活用力 森田和良
- 考える楽しさが学ぶ意欲となる学習
─PISA型科学的リテラシーに迫る─ 末永昇一
- 科学に対する「態度」を育む学びの原体験
─重さと距離を考える「てこのつり合い」の実践から─ 松本邦宏
- PISA型科学的リテラシーと理科授業 鷲見辰美
- PISA型を意識した授業 PISA型科学的リテラシーの育成から見た「ものの溶け方」
単元構成案の改善点 小田部英仁
- 生きて働く知識の習得を目指した授業の工夫 船山桂一
- PISA型科学的リテラシーから見た授業改善案
─4年生「水の温度とかさの変化」の実践より─ 太田雄久
- PISA型科学的リテラシーからみた授業改善
─冬季セミナー報告─ 木村健治
2006年PISA調査は,科学立国日本としては,不満足な結果になった。2006年調査は,読解力,科学的リテラシー,数学的リテラシーの3本柱のうち,特に科学的リテラシーが中心分野に位置づけられている。この科学的リテラシーの定義を見ると,これまでの問題解決と一見変わらないようにみえる。
しかし,これまでの問題解決は,どちらかというと導入に重きがおかれてきた。それに対してPISA調査の視点は,実験をした後の対応に重きがおかれている。ここに,日本の理科教育の一つの弱点が示されたのではないだろうか。
本号では,PISA調査で見えてきた日本の理科教育の弱点を補うために,理科授業はどのように変わっていくべきなのか考えてみたい。
なお,本号は,日本初等理科教育研究会の冬季セミナーにおける検討会の内容を受けて執筆していただいた。このときの提案で,PISA型科学的リテラシーを考慮した単元構成として例示したものは次のような流れである。
- 1時 長い筒に入った水の中に食塩とミョウバンを落とす。その様子を見ながら水の中の様子をイメージ図で表わしてみる。
- 2・3時 食塩やミョウバンは,どこまでも溶けるのだろうか予想して実験する。
- 4・5時 もっと溶かす方法はないか考え,温度変化と溶ける量のグラフを作成する。
- 6時 食塩とミョウバンが水で溶けているイメージ図を,これまでの実験結果にあうように作成する。
- 7時 50℃の食塩とミョウバンの飽和溶液を作り,そこに冷えた金属棒を入れたときの様子を予想し,実験してみる。
- 8時 食塩やミョウバンを水に溶かしたときの重さをはかり,そのイメージ図がより実験結果と整合しているか検討してみる。
この単元構成の提案を受けての執筆であることを前提に読んでいただきたい。(担当/鷲見辰美)
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