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日本初等理科教育研究会 編集
初等理科教育
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2009年1月号 No536
科学的思考力を育てる
1月号表紙
  • 特集キーワード 梶川友恵
  • 座談会 科学的思考力を育てる授業とは何か?
    矢野英明,大津晃,宇佐美暁,岸重光,小田部英仁
  • 論理的に科学の枠組みで考えその良さを感得する学習指導に向けて 加藤圭司
  • 科学的な思考力・表現力を育成し,実感を伴った理解を図る
    理科学習の創造 塚田昭一
  • 授業における比較・類推の場の構成と,思考の組み替え
    ─6学年「植物や動物と養分」をもとに─ 澤柿教淳
  • 主題研究を読んで 森田和良
  • 科学的考察力を育てるために,「考察」の視点を明確にする
    ─5学年「てことてんびん」の学習を通して─ 長沼武志
  • 主題研究を読んで 田中義朗
  • 科学的に追究する行為を楽しませるために 村山一彦
  • 主題研究を読んで 鷲見辰美
  • 冬季セミナー総合案内
    【提案1】電気単元の系統性をどう考えていったらよいか 白岩等
    【提案2】「生活科」「手回し発電機」そして「グローバルマップ」 佐々木昭弘
    【提案3】系統性を考えた電気単元の提案 鷲見辰美

 「科学的な見方や考え方を養う」ことは,これまでも理科の目標に示されてきたものであり,新学習指導要領においても継続していく大事なことです。この場合の「科学的」とは,「実証性」「再現性」「客観性」の3つの条件がそろうことであり,子どもたちは教師や友達同士とのかかわりを通して「科学的な見方や考え方」を身につけていくことが大事だと考えます。
 ところが,平成19年に発表された「特定の課題に関する調査(理科)」の調査結果における主な課題として,次のことがあげられています。

・問題を解決するための観察・実験の方法を考えることに課題
・観察・実験の結果やデータをもとに考察を深めたり結論を導くことに課題

 これらの課題から,科学的思考力を育てなければならないことがわかります。そのためには,その問題解決にふさわしい方法を考え出す力,観察・実験の結果から必要な情報を取り出す力,取り出した情報をまとめる力,まとめからよく考え結論を導き出す力を育てる授業が必要となります。そうした授業とは,やはり大前提として子どもの主体的な問題解決学習を成立させる授業だと思います。
 そして,子どもの主体的な問題解決学習を支えるものは,子ども自らの「問題意識」です。この「問題意識」があれば,問題解決に向けて見通しをもち,「こんな実験をすれば,わかるのではないか」など解決方法を子ども自身が考えることができるでしょう。また,観察・実験の結果の何に着目をすればいいのかがはっきりしてきますから,「こういう結果なら,こんなことが言えると思うよ」と,観察・実験の結果をもとにした考察で自分なりの論理を導くことができるはずです。
 また,子どもが主体的に取り組む問題解決の過程が,「科学的」か否かを,教師は常に意識してかかわっていくことが必要です。単に「活動が問題解決的になっているか」や,「実験・観察を取り入れた体験的なものになっているか」といったことに気をつけているだけでは,科学的思考力は育ちません。「実証性」「再現性」「客観性」の3つの条件が満たされているかという視点も必要です。
 さらに,問題解決の授業を通して科学的思考力を育てるためには,この学年で,この単元で育てなければならない科学的思考力とはどのようなものなのかを,教師は具体的に考えて授業をする必要があります。そして,その力を身につけさせる手立てを考え実行し,その力が育ったのかをしっかり見とることも必要です。目標と指導と評価の一体化の授業実践です。
 もう一度「科学的思考力」の意義や大切さ,「科学的思考力」を育てる授業とはどういうものなのかを考えていきたいと思います。(担当/梶川 友恵)


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12月号 実感を伴った理解
11月号 「伝え合う力」を育てる理科授業
10月号 習得・活用・探究学習と子どもの思考
9月号 活用力を高める「深化課題」の開発
8月号 人間力の向上
7月号 「エネルギー」「粒子」概念の授業を考える
6月号 「ことば」を重視する理科の授業とは
5月号 自然・科学・実感 はじまる新しい理科!
4月号 PISA型科学的リテラシー
3月号 活用力を育てる授業
2月号 意味の理解を伴った知識や技能の習得のさせ方
1月号 「子ども理解」を深めるために
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11月号 授業力を磨く
10月号 子どもの発達と問題解決
9月号 今,福島が熱い! 全国大会への道
8月号 授業が成り立つ問題が見えてくる
7月号 実生活と授業をつなぐ
6月号 授業がぐっと深まるこの発問
5月号 授業における子どもの「ひらめき」
4月号 “状況に入る学び”と“状況をつくる学び”
3月号 “読解力”を育てる理科授業の改善
2月号 「何を」かくか 「いつ」かくか
1月号 児童に考えさせる実験結果のまとめ方
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12月号 今,単元構成を考える
11月号 教えて考えさせる授業と問題解決
10月号 話し合いを深めるキーワードとは?
9月号 感性をみがく理科教育
8月号 知識の差,経験の差を乗り越える理科授業
7月号 幼・小・中連携を踏まえた学習指導要領改訂のポイント
6月号 「表現力」を理科で鍛える
5月号 知的ボルテージを高める理科授業
4月増刊号 学力低下を克服する 小学校理科の新展開
4月号 こうすれば楽しくなる,理科の授業!!―若い先生方とともに育つために―
3月号 小学校理科はこれでいいのか―学習指導要領改訂への提言―
2月号 問題解決の力を育む
1月号 子どもが「わかった」と実感できる授業
2005年
12月号 子どもの見方や考え方をとらえる
11月号 見えない世界を楽しむ
10月号 他教科との関連を踏まえた新世紀型理科教育
9月号 こだわりを育てる理科授業
8月号 確かな学力に高める「説明活動」
7月号 子どもの出番! 教師の出番!
6月号 先行学習の有効性
5月号 教師を理科好きにする“新しい校内研修”
5月増刊号 「真の学力」を育てる 理科の学習指導案集
4月号 ふるさとの自然に自信と誇りを育てる授業
3月号 個の学びを生かした 練り上げのある授業
2月号 豊かな「挫折」がある授業
1月号 自然を豊かに感じ、確かな科学を築く
2004年
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11月号 「問題解決」の原点
10月号 対話で変わる子どもの見方や考え方
9月号 わかる理科授業をめざして
8月号 21世紀型の教材研究
7月号 特集:子どものつくる「問題」、教師の考える「問題」
6月号 特集:みがけ! 感性
5月号 専門家の協力を得た授業
4月増刊号 小学校理科授業のレベルアップ読本
4月号 確かな学力を育てる理科授業
3月号 長期記憶に残る理科授業の工夫
2月号 「問題解決と学力」を問う
1月号 理科嫌いをなくす授業をめざして
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10月号 科学的思考を育てる「基礎・基本」
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8月号 教師の指導力を問う
7月号 ものづくりで科学する力を
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8月号 教材化を図る教師の眼
7月号 自然体験活動のすすめ方
6月号 理科の授業と仲間づくり
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5月増刊号 理科に役立つ栽培植物
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3月号 感動を表現する子どもを育てる
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6月号 生命観を養う理科授業
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5月増刊号 もっと活かそう学校環境
4月号 特集:私の考える「よい授業」
3月号 特集:心に残る授業
2月号 特集:理科で育つ資質や能力
1月号 特集:心の世紀と理科の教育

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