- 6学年「電気の利用」の教材活用 教材提供:株式会社 内田洋行
- 特集キーワード 森田和良
- インタビュー 内田麻理香氏に聞く
/子どもの好奇心を潰さないことが科学好きを育てる
- 活用で「わかる」をホンモノに
─子どものわかりたいという気持ちを大切にした授業の展開─ 鏑木良夫
- 学習観の転換を図る活用型授業
─6学年「燃焼」における活用場面─ 森田和良
- 科学的な思考力を育て,理解深化を図る理科学習
─「考え変容ボード」を活用した対話を通して─ 稲垣貴子
- 教科書実験も単元構成で活用を意識すれば理解深化を促せる
─一つの概念形成に複数の教科書実験を経験させよう─ 岩田眞樹子
- 理解深化を目指した活用力追究の授業
─5学年「流れる水のはたらき」─ 永山衣里
新学習指導要領では,「習得・活用・探究」という学習サイクルが,授業改善のポイントとして重要視されている。特に,「活用」を意図した「活用型授業」に関しては,新たな試みもはじまっている。また,新教科書でも「活用」の場面設定が数多く掲載されるようになっているので,ますます学校現場では「活用型授業」が数多く実践されることだろう。
理科の授業は,問題解決型の授業スタイルをとることが多い。しかし,その学習プロセスを体験していても,一人ひとりの児童が学習内容を習得できていくとは限らない。習得できる児童もいれば,できない児童もいる。その習得の実態が,授業者や学習者本人にも見えにくいのである。
そこで,一連の問題解決活動を通して学んだ知識や技能が,確かなものとして定着しているかどうかを確かめるためには,知識や技能を問題解決の場で活用することが重要である。活用できてはじめて「知識・技能を習得できた」と言えるだろう。学習したことを活用させる活動は,「より深くわかる」こと,つまり,「理解深化」につながる効果的な活動なので,とても重要である。活用型授業の役割は大きい。
活用場面では,「習得」を目指す学習場面よりは複雑な状況で知識や技能を活用させるので,既習場面とは異なった状況での問題解決となる。状況が変われば抽出する条件も異なる。解決方法も多くの中から選択しなくてはいけない。妥当な判断が求められる。学習によって得た「結果」だけではなく,学習の過程で使った「方法」やその「意味」まで問われる。つまり,知識や技能の“原理原則”に立ち戻って考えることが求められるのだ。このことが,「よりよくわかる」につながる。
本号では,理科における「活用型授業」の具体と,その結果,児童の理解深化にどのような効果があったのかを,理論面からと実践事例という具体面の両面から明らかにしたい。
(担当/森田 和良)
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