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日本初等理科教育研究会 編集
初等理科教育
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2011年8月号 No567
ものづくりと問題解決
8月号表紙
  • 4学年「金属の温まり方」の教材活用教材提供:株式会社 ヤガミ
  • 特集キーワード 鷲見辰美
  • これからの理科教育とものづくりの可能性 村山哲哉
  • 新しいものづくり ─「作る」から「創る」へ─ 末永昇一
  • 地域がはぐくむロボット学習 岡良治
  • 問題解決から活用へつなげるものづくりの授業
    ─5学年「電流がうみだす力」の実践から─ 中村誠
  • ものづくりを軸にした単元構成のあり方
    ─3学年「電気の通り道」を例にして─ 森川恵子
  • ものづくりで導く実感を伴った理解
    ─4学年「電流のはたらき」の授業から─ 出井久美子

 小学校学習指導要領解説理科編では,「ものづくり」について以下のように記されており,小学校理科における改善の具体的事項として,よりいっそう充実することが求められている。

(オ)生活科との関連を考慮し,ものづくりなどの科学的な体験や自然を対象とした自然体験の充実を図るようにする。

 また,解説書には,科学的な体験としてのものづくりの例として,3学年の「風やゴムの働き」が例示として次のように記されている。

風で動くおもちゃやゴムで動くおもちゃをつくるものづくりを通して,風力やゴムの伸びとおもちゃの動く距離とを関係づけて考えるなどの学習が考えられる。

 このように「ものづくり」はよりいっそう充実することが求められている。科学的な体験としてのものづくりを通して,その仕組みや規則性を発見するといった「自由試行的」な価値や,学習で身につけた科学的な見方や考え方を適用し,実生活や実社会との関連を考えていくといった「活用的」な視点も重要な視点と考えられる。
 また,ものづくりの活動を通して,知的好奇心を触発しながら,論理的思考力や創造性などの資質を伸ばすことにもつながっていくと考えられる。
 さらに,単元で学んだ内容だけにとらわれたものづくりにせず,日常生活において問題を発見し,それを技術(テクノロジー)と融合させて問題を解決していき,実生活に役立つロボットを作っている実践例もある。このような実践は,単なるものづくりではなく,自ら問題を見出し,自ら構想し解決していくといった問題解決の姿でもある。
 例えば,以下のようなものづくりはどうだろう。

(1)長期休業中に取り組む,植木に自動で水をやる道具やメダカへ自動でえさを与える道具
(2)太陽光を日陰の屋内に取り込み,採光と暖房ができる道具
(3)風力発電による夜間照明の道具など

 資源が乏しい日本では,科学技術を駆使して発展させていかなければならない。「ものづくり」は,21紀を担う現代の子どもたちが,まさに知的好奇心を触発しながら,論理的思考力や創造性をはぐくむ重要な活動であると考える。
 そこで,本号では「ものづくり」を通して子どもはどのようなことを学ぶのか,改めてその価値や「ものづくり」の可能性を明らかにしていく。

(担当/鷲見 辰美)


  

Back Number

2011年
7月号 実感を伴った理解
6月号 子どもを引きつける新しい「終末指導」の考え方
5月号 イメージ化の有効性
4月号 新学習指導要領「理科」で育つ子どもの姿
3月号 活用型授業と理解深化
2月号 評価のしかたで授業が変わる―関心・意欲・態度
1月号 言語活動の「評価」
2010年
12月号 理科における言語活動の充実
11月号 系統性を重視した指導(生命・地球)
10月号 確かな学力を育む理科の系統性(エネルギー・粒子)
9月号 メディアと問題解決
8月号 教科をつなぐ理科
7月号 子どもの学びと実験・観察
6月号 「A区分」新内容・新教材 こう授業する
5月号 生命・地球「B区分」の魅力にせまりたい
4月号 新学習指導要領で授業はこう変わる
3月号 子どもの問いかけをどう組織化するか
2月号 理科と「言語活動」
1月号 学ぶ喜びのある授業
2009年
12月号 「理科離れ」の正体を探る
11月号 考察力を高める
10月号 実験結果のまとめと評価
9月号 活用できるものづくり教材
8月号 教師と子どもをつなぐ板書術
7月号 環境教育と理科
6月号 学ぶ価値を実感する授業
5月号 今こそ,自然観察力を育てたい
4月号 新学習指導要領をどう実践するか
3月号 科学史を授業に生かす
2月号 「生命」「地球」概念の授業
1月号 科学的思考力を育てる
2008年
12月号 実感を伴った理解
11月号 「伝え合う力」を育てる理科授業
10月号 習得・活用・探究学習と子どもの思考
9月号 活用力を高める「深化課題」の開発
8月号 人間力の向上
7月号 「エネルギー」「粒子」概念の授業を考える
6月号 「ことば」を重視する理科の授業とは
5月号 自然・科学・実感 はじまる新しい理科!
4月号 PISA型科学的リテラシー
3月号 活用力を育てる授業
2月号 意味の理解を伴った知識や技能の習得のさせ方
1月号 「子ども理解」を深めるために
2007年
12月号 研修・授業分析の生かし方
11月号 授業力を磨く
10月号 子どもの発達と問題解決
9月号 今,福島が熱い! 全国大会への道
8月号 授業が成り立つ問題が見えてくる
7月号 実生活と授業をつなぐ
6月号 授業がぐっと深まるこの発問
5月号 授業における子どもの「ひらめき」
4月号 “状況に入る学び”と“状況をつくる学び”
3月号 “読解力”を育てる理科授業の改善
2月号 「何を」かくか 「いつ」かくか
1月号 児童に考えさせる実験結果のまとめ方
2006年
12月号 今,単元構成を考える
11月号 教えて考えさせる授業と問題解決
10月号 話し合いを深めるキーワードとは?
9月号 感性をみがく理科教育
8月号 知識の差,経験の差を乗り越える理科授業
7月号 幼・小・中連携を踏まえた学習指導要領改訂のポイント
6月号 「表現力」を理科で鍛える
5月号 知的ボルテージを高める理科授業
4月増刊号 学力低下を克服する 小学校理科の新展開
4月号 こうすれば楽しくなる,理科の授業!!―若い先生方とともに育つために―
3月号 小学校理科はこれでいいのか―学習指導要領改訂への提言―
2月号 問題解決の力を育む
1月号 子どもが「わかった」と実感できる授業
2005年
12月号 子どもの見方や考え方をとらえる
11月号 見えない世界を楽しむ
10月号 他教科との関連を踏まえた新世紀型理科教育
9月号 こだわりを育てる理科授業
8月号 確かな学力に高める「説明活動」
7月号 子どもの出番! 教師の出番!
6月号 先行学習の有効性
5月号 教師を理科好きにする“新しい校内研修”
5月増刊号 「真の学力」を育てる 理科の学習指導案集
4月号 ふるさとの自然に自信と誇りを育てる授業
3月号 個の学びを生かした 練り上げのある授業
2月号 豊かな「挫折」がある授業
1月号 自然を豊かに感じ、確かな科学を築く
2004年
12月号 発展的な学習のアイデア
11月号 「問題解決」の原点
10月号 対話で変わる子どもの見方や考え方
9月号 わかる理科授業をめざして
8月号 21世紀型の教材研究
7月号 特集:子どものつくる「問題」、教師の考える「問題」
6月号 特集:みがけ! 感性
5月号 専門家の協力を得た授業
4月増刊号 小学校理科授業のレベルアップ読本
4月号 確かな学力を育てる理科授業
3月号 長期記憶に残る理科授業の工夫
2月号 「問題解決と学力」を問う
1月号 理科嫌いをなくす授業をめざして
2003年
12月号 予習と理科学習
11月号 「わくわく導入」のあり方
10月号 科学的思考を育てる「基礎・基本」
9月号 ポートフォリオを生かす
8月号 教師の指導力を問う
7月号 ものづくりで科学する力を
6月号 どうする? 発展的・補充的な学習
5月号 飼育・栽培の楽しみ
5月増刊号 楽しい理科の導入の工夫
4月号 ワンランク上の学力をつけたい
3月号 学習指導要領をみつめなおす
2月号 学力低下への緊急提言
1月号 理科から総合へ
2002年
12月号 海外の理科教育に学ぶ
11月号 絶対評価 私の実践
10月号 地域とつながる理科教育
9月号 わかる喜びをめざす理科の授業
8月号 教材化を図る教師の眼
7月号 自然体験活動のすすめ方
6月号 理科の授業と仲間づくり
5月号 センス・オブ・ワンダーの心を育てる
5月増刊号 理科に役立つ栽培植物
4月号 「豊かな心」にどこまで迫れるか
3月号 感動を表現する子どもを育てる
2月号 現代日本の理科離れの危機
1月号 子どもの仮説が生きる授業
2001年
12月号 IT革命と理科授業
11月号 子どもが協同しあう授業の創造
10月号 ものづくりをどう位置づけるか
9月号 理科で育つ学力
8月号 「わかる」授業から「わかりあう」授業へ
7月号 事実を大事にした授業
6月号 生命観を養う理科授業
5月号 地域の自然 目のつけどころ
5月増刊号 もっと活かそう学校環境
4月号 特集:私の考える「よい授業」
3月号 特集:心に残る授業
2月号 特集:理科で育つ資質や能力
1月号 特集:心の世紀と理科の教育

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