- 4学年「金属の温まり方」の教材活用教材提供:株式会社 ヤガミ
- 特集キーワード 鷲見辰美
- これからの理科教育とものづくりの可能性 村山哲哉
- 新しいものづくり ─「作る」から「創る」へ─ 末永昇一
- 地域がはぐくむロボット学習 岡良治
- 問題解決から活用へつなげるものづくりの授業
─5学年「電流がうみだす力」の実践から─ 中村誠
- ものづくりを軸にした単元構成のあり方
─3学年「電気の通り道」を例にして─ 森川恵子
- ものづくりで導く実感を伴った理解
─4学年「電流のはたらき」の授業から─ 出井久美子
小学校学習指導要領解説理科編では,「ものづくり」について以下のように記されており,小学校理科における改善の具体的事項として,よりいっそう充実することが求められている。
(オ)生活科との関連を考慮し,ものづくりなどの科学的な体験や自然を対象とした自然体験の充実を図るようにする。 |
また,解説書には,科学的な体験としてのものづくりの例として,3学年の「風やゴムの働き」が例示として次のように記されている。
風で動くおもちゃやゴムで動くおもちゃをつくるものづくりを通して,風力やゴムの伸びとおもちゃの動く距離とを関係づけて考えるなどの学習が考えられる。 |
このように「ものづくり」はよりいっそう充実することが求められている。科学的な体験としてのものづくりを通して,その仕組みや規則性を発見するといった「自由試行的」な価値や,学習で身につけた科学的な見方や考え方を適用し,実生活や実社会との関連を考えていくといった「活用的」な視点も重要な視点と考えられる。
また,ものづくりの活動を通して,知的好奇心を触発しながら,論理的思考力や創造性などの資質を伸ばすことにもつながっていくと考えられる。
さらに,単元で学んだ内容だけにとらわれたものづくりにせず,日常生活において問題を発見し,それを技術(テクノロジー)と融合させて問題を解決していき,実生活に役立つロボットを作っている実践例もある。このような実践は,単なるものづくりではなく,自ら問題を見出し,自ら構想し解決していくといった問題解決の姿でもある。
例えば,以下のようなものづくりはどうだろう。
(1)長期休業中に取り組む,植木に自動で水をやる道具やメダカへ自動でえさを与える道具
(2)太陽光を日陰の屋内に取り込み,採光と暖房ができる道具
(3)風力発電による夜間照明の道具など |
資源が乏しい日本では,科学技術を駆使して発展させていかなければならない。「ものづくり」は,21紀を担う現代の子どもたちが,まさに知的好奇心を触発しながら,論理的思考力や創造性をはぐくむ重要な活動であると考える。
そこで,本号では「ものづくり」を通して子どもはどのようなことを学ぶのか,改めてその価値や「ものづくり」の可能性を明らかにしていく。
(担当/鷲見 辰美)
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