- 5・6学年「デジタル顕微鏡」の教材活用
教材提供:株式会社 内田洋行
- 特集キーワード 尾崎幸哉
- 学校で使える「Bセンスさんぽ」プログラム 横山隆一
- 具体と抽象を結び,広く深い体験を学びとつなげる 日置光久
- 「科学する心」の基礎となる「自然観察」 露木和男
- 自然体験を通して命やふるさとに向けた眼差しを育てる
─教材探しはフィールドからはじまる─ 山田辰美
- 「デリバリー実験教室」方式による科学教育連携プログラム
─身近な生物に関連する単元を例に─ 堀田のぞみ・千葉和義
- 究極の自然体験,入り口の自然体験 植原彰
自然体験プログラムのメリット
○生き物の生きている姿や本物の自然を前にして体験してはじめて得られる学びがある。
○感覚をフルに働かせて,自然を感じとることができる。
○以前から身近にあっても“見えていなかった”自然の姿が“見える”ようになる。 |
先の学習指導要領の改定により,3学年の単元に「身近な自然の観察」が新たに加わった。解説編によると,「身の回りの生物の様子を比較しながら調べ,生物の様子やその周辺の環境との関係を捉えるようにする。これらの活動を通して,生物を愛護する態度を育てるようにする」と示されている。
近年,児童が自然にふれる機会が少なくなってきていると言われる。それのせいか,例えば,「虫が触れない」「生き物の写真を見ることはできても,生きている姿となると,見ることすら気持ち悪いと感じてしまう」といった傾向は,児童に限らず,大学生にも往々にして見られる。自然そのものにあまり興味を示さなかったり,自然の巧みさや美しさ・精緻さなどに心を動かされることが少なくなったりしてはいないだろうか。
だからといって,ただ大自然の中に児童を解き放てば,感動したり自然を感じとったりできるようになるかというと,必ずしもそうではないだろう。観察のしかたや調べかたにつながるような自然を見る視点を与えたり,感じとったり発見したりする喜びや驚きにつながる遊びを企てたりするといった意図的な指導者の働きかけが必要であろう。
一方で,指導者側も自然のことがよくわからない,指導に自信がもてないといった傾向がある。例えば,動植物の名前をよく知らない,児童と自然とをどう関わらせればよいのかよくわからないなど,児童に自然を体験させたいと思っても,実践となると悩んでしまうことが多いのではないか。
そこで,本号では,自然体験という視点で,今の児童をいかに捉え,児童と自然をどう向き合わせていけばよいか。そして,理科教育のなかで,自然をいかに体験させていけばよいかという視点を明らかにしたい。読者の方々の周囲で,活用できそうな自然体験活動を模索するためのヒントを捉え,理科の授業で自然を体験させるときの留意点を補足する一助となれば幸いである。
(担当/尾崎 幸哉)
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